『醍醐桜』
世中にたえてさくらのなかりせば
春の心はのどかけらまし
在原業平
私は昨年末から、よなよな、BS放送で
まだ見ぬ日本の風景の、映像の旅をしている。
新日本百選はもとより、
知られざる日本の秘境を、春を待ちながら静かに訪ねていた。
美しい日本人の心の在処は、
言葉は少なくとも自然を心から愛し、
共に生涯を送り続けている事を教えてくれる。
私はこの、ビジュアルな自然の旅の中に、
毎回引き込まれ、眼が離せなくなくなる。
自分の中の日本が、現実を離れて彷徨をはじめる。
それほど、深い感動にいざなわれていく。
日本の自然の美しさには、眼も眩みそうであり
そこに生きる人々には、後光の光が存在している。
〜岡山の山奥の小さな村〜
樹齢、700年とも1000年とも口伝えられてきた、
仏の化身のような、大木の桜がある。
醍醐桜…
後醍醐天皇が隠岐に遷幸された際、
この山の上の大木になる桜を賞賛されたそうな…
この山奥の集落の人々は、
全ての村人の名字が「春木さん」である。
この大木の下で生きる、
それぞれの春木さん達の姿を、
映像は静かに追っていく。
何十人しかいない、村の春木さん達は、
毎年、醍醐桜の咲きっぷりに、
四季の生の喜びを凝縮させようとしている。
観光客のもてなし方も知らず、
手作りの土産の計算もままならず、
それでも、一年間、大切に手塩にかけた、
我が子の晴れ姿を見てほしくてたまらないのだ。
もし訪れる事ができるのなら、
毎朝、山の坂を上り、
我が子を慈しむように大木を見つめている
一人暮らしの老婦人、
春木さんの朴訥で真っ正直なあの手を握りたい…
横山守・朝霧の道
〜自然は、私達に無償の喜びを与えてくれている〜
ジョゼ







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