リヤドロの美しさをお楽しみ頂きながら、日本や外国の旅の思い出、絵画と創作詩、美術館探訪etC・大人のロマンのひとときを。
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『もう一つの、ノスタルジア』



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私は、いつも人形たちに囲まれて暮らしています。

時々、何故こんなにたくさんの
人形たちに見守られて
過ごす事ができるようになったのだろうと、
思いを深めることがあります。

他界した母も、手先の大変な器用な人で、
暇さえあれば、何かを作っていました。

それは、戦後間もない物のない時代の中で、
兄や私の靴下のほころびであったり、
古い毛糸を洗い直しをして、
編むセーターであったり、
余った生地で作る、小さな人形であったり、
自己流で仕立てる洋服であったり、
立っても、座っても、何かを作っていました。

そんな母の形見となった人形のことは、

『母へのつぶやき』
として、
四年目の命日によせて、書き残しました。

もう一人、
抱え切れないほどの人形の数々を、
私の腕に持たせてくれる人の、存在がありました。

それは、義母でした。

初めて遊びに行った時、
無口な義母は、何となく恥ずかしそうに、
お茶を差し出してくれたあと、
部屋中に飾ってある、
たくさんの手芸作品の数々を、
私に、一つ一つ見せてくれました。


お義母さんのお人形


淡いパープルに彩色され、
巻き毛や薔薇の色まで洒落ていると思いました。

一通りの手芸をものにして、
近くの公民館で講師をしていました。

今、義母の部屋には、大昔に作った
色あせた江戸褄の日本人形だけが、
ぽつんと飾られています。

気前の良い義母は、
作った作品を、皆、人にあげてしまいました。

私達夫婦は、
よく、義父母を旅に連れて出かけました。
たくさんの人形館や、絵を観て回った。
大きなぬいぐるみのテディベアの前で
写真の中の二人が笑って並んでいます。


work73.jpg


義母は特に、高島屋で観た、
「与勇輝さん」の人形に、とても惹かれて、
遊びに来ると、
与勇輝さんの作品集のDVD、
絵はがきや、本を、嬉しそうに眺めていました。

ある年、やはり、旅に連れて行くため、
前夜から、義父母に泊まってもらったことがありました。

丁度、義母の喜寿のお祝い旅行を兼ねていて、
前夜の食卓で、
私は、ささやかなプレゼントを贈りました。

義母は、とても喜んでくれ、
大事そうにバックにしまいました。

その数分後、義母は、
慌てて、ソファーにかけている義父に、

「お父さん、バックの中に
こんなものが入っているのよ。」

と、たった今、
しまったばかりのプレゼントの箱を取り出しました。

私と義父は、思わず、顔を見合わせました。
その時、はっきり、わかりました。

「最近、婆さんが呆けてきてなぁ。」
という意味が。

旅から帰って、私達夫婦はすぐに、
認知症の専門医に赴きました。

大学病院の医師の事務的な質問に、
義母は、一つ一つ誠実に答えました。

義母の尊厳を、傷つけられるのではないかと
はらはらするような質問にも、
最後まで礼儀正しく答えていました。

診察が終わり、病室を出てすぐの廊下で、
義母は、私の手を、
ぎゅっと握って、こう言ったのです。

「ありがとう。連れてきてくれてありがとう。」

私は、その時、心の底から、
義母への愛しさで胸がいっぱいになりました。

亡き母同様、女性が生きにくい時代にあって、
忍従の時間に生涯の多くを費やした、
優しくて強い義母。


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義母の記憶は、日一日と失われていくのに、
私の義母への記憶は、
鮮やかによみがえってくる、この頃です。









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